ORU KAYAKと折り畳み自転車で楽しむ夏の吉野川ツーリング

雨が降らず川は渇水気味となっていた8月初旬の四国地方
支流の水量は少なめだが、最大水量日本一の吉野川本流は早明浦ダムからの放水もあり水量豊富だ

暑さが厳しい昼間を避け夕方からいつもの吉野川中流コースをオルカヤックと自転車で楽しんだ。

日本にパックラフトが入って来た頃はこんな楽しみ方をしていたがコンパクトな日本の地形では晴れると川の特に下流は海からの風(向かい風)が吹き、喫水線が浅いパックラフトでは進まないという難点があった。
(喫水線とは水に浮かんだ時の船底から水面までの深さのこと)

風の影響が少ない上流部や流れのある川に向いているのがパックラフトだ。
それに比べある程度水中に沈み通常のカヤック並みの喫水があることで風に強く直進性が増す。そしてコンパクト。そんなフネがオルカヤックだ。

今回は一番小さなレイクを使用し、ゴール地点になる支流の穴吹川の川沿いに車を置き折り畳み自転車を使ってカヤックスタート地点に移動、そして川下りを楽しんだ。

まずは自転車を組み立てて準備。カヤックとともに車内に詰め込めるコンパクトさだ。

自転車での移動途中、脇町のうだつの街並みに立ち寄った。
かつては藍染の原料となる蒅(すくも)の出荷で栄えた町だ。吉野川を使い船で蒅を出荷していた。
海から「あの風」を使い帆船で上流へ、そして川の流れに乗って下流へとモノを運び川は物流の要となっていた。道路が発達していなかった時代、川は今で言う高速道路のようなものだったのだろう。

川を下ると分かるが、一番流れているのは川の真ん中で両サイドは流れがほぼない。そのサイド部分は上流へと向う船、真ん中部分は下流に向かう船の通り道だった。
そんなことが見えてくるのが川下りの面白さでもあり、そんな時代背景を物語る場所がたくさん残っているが吉野川の特徴でもある。

寄り道をしながらスタートポイントへ移動。そして今度はカヤックを組み立てる。
2分もあれば組み立て完了するのがレイクのいいところだ。折り畳んだ自転車はレイクのストラップに固定、念のためカヤックの中には浮力体を入れておく。

スタート準備に10分もかからないのは暑い夏には本当に助かるのだ。
暑い中でフォールディングカヤックの組み立てをやったことがある人なら分かるだろう。

川に出てしまえば快適だ。
夕凪の時間を狙ったので徐々に向かい風はおさまり、静かに曇り空の中に夕陽が消えていった。

ゴールに着く頃にはもう暗くなり始めてしまった。
片付けを終えて帰る前にもう一度水浴び。
水温は27℃あり日が暮れてもまだ泳げてしまう。例年水温がこれぐらいまで上がっても水が綺麗。それが四国の川の最大の特徴なのだ。

TEXT:TAKESHI USHIO
PHOTOGRAPHY:AIKO USHIO

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牛尾健(うしお たけし)
牛尾健(うしお たけし)

「Trip 四国の川の案内人」代表。アウトドアガイド。
子供の頃からアウトドア活動に明け暮れ雪山から海まで旅しています。
四国徳島で吉野川と剣山をメインフィールドに水をテーマにアウトドアツアーを企画・
運営。20年以上のわたり四国の川旅をご案内。アウトドア関係の現地コーディネイトや雑誌などの寄稿、事務所内ではUPIフレンズショップの営業もしています。

牛尾愛子(うしお あいこ)
牛尾愛子(うしお あいこ)

「Trip 四国の川の案内人」の補佐。アウトドアガイドでオールラウンダーです。主なフィールドは剣山から貞光川、そして吉野川周辺。徳島で生まれ育ちローカルとして環境や人に良いことができればと企画・活動中。郷土料理が得意。
時折、北は釧路川や十勝川、南は西表島、そして瀬戸内海や山でもガイドのお手伝いをしています。