サウナテントと旅をする〜奄美群島・喜界島編〜

 3/5(さんごの日)、喜界島サンゴ礁科学研究所の主催により開催されたサンゴ祭りにてSAVOTTAサウナテントを設営させて頂いた。南の島らしくこの時期でも豊富にある島の植物を使ったアウトドアサウナをやってみたいと当初から計画していた。

 会場のすぐ近くにあるビーチが今回の設営場所だ。満月の大潮、まずは満潮時の潮のラインを確認してテントを設営。サウナ後は海にも入るので安全であることも重要だ。そして集落の方の了承を得る。湯船に浸かる習慣があまりなくシャワーで済ませる人が多い南西諸島。どんな反応をしてもらえるのだろうか?サウナテントは島では初めてのことらしく設営時から人が集まり始めた。


喜界島サンゴ礁科学研究所を目指す

 奄美大島の東に浮かぶ周囲約48kmの喜界島。奄美大島と比べるとその成り立ちは新しく喜界島はプレートの影響を受け年平均2mmという速度で隆起し続けているサンゴの島だ。

 島の高台に登ると地殻変動により海の上に持ち上がることによってできたサンゴ礁段丘が見られる。そして集落を散策させてもらうと島の石垣や古いお墓など至る所でサンゴが使われていることに気づく。さとうきびの1本道や巨大ガジュマルなど見所も多い。

 まずは廃校を利用した喜界島サンゴ礁科学研究所にお邪魔し施設内を案内して頂く。校舎の隣の大きなガジュマルの下には宿泊施設やサンゴミュージアムも併設されており、旅の途中にも寄れる場所となっている。すぐに目の前が海で少し散策をしていると海面にウミガメが現れた。

 ここでは過去から現在の地球環境の記録が詳細に閉じ込められている喜界島で、サンゴ礁科学を柱にした研究拠点という特徴を活かし「100年後に残す」ことを理念に、将来により良い未来を残す活動をされている。

島の植物とアウトドアサウナ

 イベント前日、島の獣医師で植物にも詳しい高坂嘉考さんと島を散策。島の文化や植物について教えて頂き植物を採取。

  色々試した結果、ウィスクにはクロヨナを使うことに。葉の感触と平らな豆の弾力が身体を叩くのには気持ちよく、香りもいい。

 テントの飾り付けには頂いたタンカンやソテツの葉、サウナの中には月桃の葉を敷き詰めめ、二つのバケツを用意。一つは香りの良いリュウキュウヨモギを入れたロウリュ水に、そしてもう一つはそのままの水を用意した。サンゴの成分がしみでた土壌だけあって、その水も普段飲んでいる水とは明らかに口当たりや味が違うことに気づく。これでいろんな楽しみ方ができるはずだ。

 外気浴を楽しむ際に敷くのは芭蕉の葉や月桃に似たクマタケランの葉を用意。準備は整った。

“いい場所”の発見

 サウナ関係のギアやテントを丈夫なSAVOTTAのヤーカリMに詰め込みストーブ・ストーンを車から海岸へと運んだら設営だ。自然に溶け込むSAVOTTAのサウナテントやバックパックは南国にもよく似合う。

 道路からは覗き込まないと見えない小さなビーチはプライベート感があり時間を過ごすには最高だ。アウトドアガイドとしてもそのようないい場所でアクティビティやギアを通し、いかにして自然の中で楽しみ、どう地域の自然や文化に触れるかということを常に考えている。アウトドアブームといえども一つの場所に集中しがちな現代社会、だがそんないい場所はまだまだ日本中にたくさんあることも知っている。そしてそのようないい場所の一つが喜界島であることも再確認できた。

 曇り空で少し冷たい風が吹いたが黒潮流れるこのエリアの海水温は20度以上はある。そのまま海のへと飛び込む人、その風で外気浴を楽しむ人、そしてお祭りを楽しむ人、小学生から88歳の方までそれぞれ思い思いの時間を過ごした。

TEXT:TAKESHI USHIO
PHOTOGRAPHY:AIKO USHIO

牛尾健(うしお たけし)
牛尾健(うしお たけし)

「Trip 四国の川の案内人」代表。アウトドアガイド。
子供の頃からアウトドア活動に明け暮れ雪山から海まで旅しています。
四国徳島で吉野川と剣山をメインフィールドに水をテーマにアウトドアツアーを企画・
運営。20年以上のわたり四国の川旅をご案内。アウトドア関係の現地コーディネイトや雑誌などの寄稿、事務所内ではUPIフレンズショップの営業もしています。

牛尾愛子(うしお あいこ)
牛尾愛子(うしお あいこ)

「Trip 四国の川の案内人」の補佐。アウトドアガイドでオールラウンダーです。主なフィールドは剣山から貞光川、そして吉野川周辺。徳島で生まれ育ちローカルとして環境や人に良いことができればと企画・活動中。郷土料理が得意。
時折、北は釧路川や十勝川、南は西表島、そして瀬戸内海や山でもガイドのお手伝いをしています。