ヘレナイフは伝統的な手法や素材を使うと同時に、現代的な要素も併せることで、使い勝手を向上させたり、職人や女性に負担をかける重労働を軽減したりすることに力を注いでいます。
ヘレナイフは「時間」に対して独自の考えを持っています。プロダクトがユニークになるために投資することがより重要なのです。自然の素材と、それを手法や処理、デザインによってどのように変化するかを理解する。ヘレナイフでは、自分たちのナイフに必要な強度や美しさにのためには時間をかけることを惜しみません。
WOOD -木材-
ヘレナイフはハンドルにさまざまな木材を使用しています。カーリーバーチが最も一般的ですが、オークやビーチなど、スカンジナビアの森で採れた他の素材も使用しています。カーリーバーチは白樺の遺伝的多様性が生み出す独特の模様で知られています。この模様がナイフに独特の表情を与え、一つとして同じものがないのが特徴です。それは、ナイフ一本一本を丁寧に仕上げる必要があるということも意味しています。
ハンドルを作るには、時間をかけ、木を理解することが大切です。全ての製造工程が重要なのです。木材は最低でも1年間、低温倉庫で保管し、ゆっくりと乾燥させます。そして、一定の湿度に達したところで、次の乾燥工程に入るために木材を切り分けます。ハンドルの形を整えた後、数日間亜麻仁油に浸し、残った油をウイスキー樽で乾燥させてから、ハンドルとブレードを組み合わせていきます。組み立てた後は、手作業でハンドルの形を整え、天然のワックスで仕上げをします。全てのナイフは異なる手法と工程で作られていますが、始まりは同じです。中には、木材から完成品まで50もの工程があるナイフもあります。
時間をかけて丁寧に仕上げることで、ナイフの表情が大きく変わり、品格あるエイジングが楽しめるようになります。また、これはそれぞれのナイフにヘレの精神が宿り、持ち主がヘレナイフ一本一本に込められたこだわりと職人技をより深く理解いただけるようにするためのプロセスでもあると考えています。
ヘレナイフでは、合成樹脂や化学薬品による木材の安定処理を一切行っていません。オイルやワックスなど、使用する材料はすべて天然資源から作られています。
唯一、ケボニーという材は、スカンジナビアの主要な木材を硬く、海外の木材のような濃い色合いにする加工を施したもので、ただの木ではありません。ケボニー加工の技術は、廃棄物系バイオマス由来のフルフリルアルコールを使ってノルウェーで開発され、特許を取得しています。木材に注入することで、細胞壁が50%強化されます。その結果、チークやローズウッドに似た風合いになります。定期的にオイルを塗れば濃い色を保つことができ、そのままにしておくとグレーに変化して年月を重ねた風合いになります。
トナカイの角は、自然に抜け落ちたものを使用しています。年に一度、フィールドから採集しています。このプロセスには非常に手間がかかり、また入手先も限られていますが、ヘレナイフではこのバランスを維持することが大切だと考えています。
STEEL -鋼材-
ヘレナイフは60年代後半に独自のトリプルラミネートスチールを開発しました。その後、改良を重ね、今日に至っています。ヘレナイフの鋼材には2つの種類があります。それはステンレス鋼のH3LSとカーボン鋼のH3LCです。
ヘレのトリプルラミネートステンレススチール(H3LS)は、箱から出した時からとてもシャープなエッジを持っています。芯材には高品質なカーボンを含んだ鋼材を使用し、独特の切れ味を実現するとともに、表面鋼には耐腐食性を持たせています。
また、ヘレナイフでは多くのプロダクトにサンドヴィック社の12C27スチールも使用しています。特に海の近くで使用するモデルには、その耐食性と耐久性からサンドヴィック12C27を使用しています。
LEATHER -レザー-
革はヨーロッパ製の高品質なものを使用しています。シースの裁断や縫製などは自社で設けている基準をクリアするために、すべてノルウェーのホルメダールにあるヘレの工場で行われています。
すべてのレザー製品は、厳選されたパートナーから仕入れた上質な革を使い、ヘレ社内でデザイン、製造されています。シースの製造は、ナイフ作りに対する考えと同様で、ブレードを保護し、さまざまなシーンに持ち運ぶことを念頭に、多くの工程を経て作られています。裁断し、パターンを刷り込み、エッジを染め、接着、縫製し、成形します。最後に、新しいシースをナイフに装着して、製品が完成します。
出典:https://helle.com/pages/wood-and-steel-helle (Wood and Steelより抜粋)