“Let the gear tell your story”
「使い込むほどに、あなたの物語を刻む」
ファストファッションや使い捨てのモノがあふれる現代において、「クルード」はまったく異なる価値観を大切にしています。それは、素材の純粋さ、誠実なものづくり、そして持ち主とともに長い時間を過ごすプロダクトです。

From Model to Craftsman
モデルからクラフトマンへ
「クルード」は、今から約10年前に生まれました。創業者のアレックス氏がモデルとして世界中を旅していた頃のことです。国や文化を行き来する日々は刺激的でしたが、同時にファストファッションの現実に強い違和感を覚えるようになりました。
次々と作られ、消費され、捨てられていくモノたち。それを目の当たりにする中で、ひとつのシンプルで強い想いが芽生えます。「本当に長く使えるものを、自分で作りたい」。
ブランドを始める明確な計画があったわけではありません。近所の店で厚手のキャンバス地と金具を買い、バックパックを一から作り始めたのがすべての始まりでした。
初めて作ったバックパックは、今も現役で使われています。厚手のキャンバス、家にあったレザーの端材や犬の首輪を再利用したレザー、金物屋で買った金具、そして父親の古いベルトから切り出したショルダーストラップ。さまざまな素材を寄せ集めた、まさに“素”のバックパックでした。
完成までに6日間。針は何本も折れ、試行錯誤の連続でした。
完璧とは程遠い、荒削りなもの。それでも、確かに「使える」バックパックでした。
そのバックパックをヨーロッパ、アメリカ、南アフリカへと持ち歩く中で、多くの人から声をかけられます。
「それいいね。どこで買ったの?」
その反応が、ひとつの気づきにつながりました。
「これは、何か新しいことの始まりかもしれない」。
▲テーブルの上にあるバッグは、アレックスが最初に作ったバックパックです。
What is CRUD?
「クルード」という名前に込めた意味
「クルード」という名前は、らてんごの「crudus」 に由来します。意味は「天然素材」「未加工の」。
それは、「クルード」が作るすべてのプロダクトの核となる考え方です。
使用する素材は、すべて天然素材のみ。
・ベジタブルタンニンレザー
・厚手のキャンバス生地
・真鍮や銅の金具
これらの素材は、最初から完璧であることを目的としていません。時間とともに変化し、傷や色褪せが刻まれていく。それらは欠点ではなく、使われてきた歴史と愛着の証なのです。

Made in Sweden
スウェーデンで、ひとつひとつ丁寧に
「クルード」のファーストプロダクトは、ベルトに下げるキーチェーンでした。その後、犬の首輪やリード、そしてバックパックやバッグへと展開していきます。

現在、「クルード」のバッグはスウェーデン国内の工場と協力して製作されていますが、その工程は今もハンドメイドに限りなく近いものです。
レザー部分はすべて、創業者のアレックス本人が担当。140年の歴史があるスウェーデンで老舗のタンナー、タンショー・タナリー(Tärnsjö Tannery)から半裁のレザーを仕入れ、手作業で裁断し、コバ(革の断面)を磨き、ワックスをかけて仕上げます。
完成したレザーパーツは工場へ送られ、キャンバスと組み合わされた半製品の状態になります。その後、再びアレックス氏の元へ戻り、ストラップや金具を取り付けて最終仕上げが施されます。

「クルード」のグローブは、ブランドを代表する人気アイテムのひとつです。きっかけは、友人がアメリカで購入してきたバイク用グローブでした。
そこから着想を得て、よりアウトドア向けで、クラシックな雰囲気を持つグローブを作りたいと考えました。機能性と美しさを兼ね備え、手にはめても、バックパックやベルトに下げていても画になる存在です。

Products with a Soul
魂のあるプロダクト
「クルード」の考え方は、とてもシンプルです。
・最高の素材を使うこと
・頑丈で、シンプルで、修理できる設計であること
・使い込むほどに美しくなること
レザーやキャンバスは、きちんと手入れをすれば何十年も使えます。そして時間とともに、持ち主だけの表情へと育っていきます。それは大量生産では決して生み出せないものです。
もちろん、これらは万人向けのプロダクトではありません。より安価な大量生産品や、軽さや目新しい独自素材を売りにする製品は、他にも数多く存在します。
「クルード」のプロダクトは、細部へのこだわり、誠実さ、そして“魂のあるモノ”を大切にする人のためのものです。
手に取った瞬間、そのクオリティははっきりと伝わります。そして長年使い続けるうちに、それは単なる「持ち物」ではなく、時間と経験を共有した相棒へと変わっていきます。
「クルード」はトレンドを追いません。少量生産で、考え抜かれたデザインと確かな素材を用い、実用的で無駄のない美しさを持つプロダクトを作り続けています。
それは、ただ持ち運ぶためのモノではなく、使い手の人生の一部となり、痕跡を残していく存在なのです。
INTERVIEW & TEXT:NEIL KUKULKA (UPI)



