プロダクトデザインの国、フィンランド
フィンランドといえば、他の北欧よりとても合理的なデザインが多く、特にプロダクトデザインが得意な国なのではないかと僕は思っています。例えばデンマークデザインは、より工芸に近い物造りでデザインされ、フィンランドは工業製品に近い物作りといった具合でデザインされているように思います。
アラビアの食器や、アアルトの家具などに代表される量産品により良いものが多いのはフィンランドデザインの特徴ではないかと思います。手元にあるタピオ ヴィルカラのナイフを眺めると、工業製品ながらの質感と美しさを併せ持つているし、ヘルシンキのメトロの美しいオレンジの色の車両は、ヌルメスニエミによるもです。
10年以上前になりますが、時々北欧に買い付けに出かけていました。Vintageの雑貨や小さな家具を買い付けるのが目的で、お店の事情もあって冬に出かけることも多く、何度か冬のフィンランドへ出向きました。フィンランドの冬は、海は凍るし吹雪いた夜は、街中でさえ過酷で、夜9時でしたが、とても暗くホテルに帰るトラムを待つ間さえ心細く思ったりするほどでした。
過酷な環境が育てたSavottaというメーカー
Savotta(サヴォッタ)は、そんな過酷な環境で育ったメーカーなのです。バックパックを始めてみたときに、担当者に確認したのは価格のことでした。価格もクオリティーも高い北欧の製品中で、想像したより安かったので、きっとどこか第三国で生産してるのだろうと思ったのですが、SavottaのアイテムはMade in Finalndにこだわっていると聞いてびっくり、作りの割に安く感じました。
細部を見ていくと、内側は、いかにも止水性が高そうなマテリアル、堅牢な縫製に目がいきます。実際にフィンランド軍に支給しているものと同じハードなマテリアルは、はじめ若干重さを感じるも、背負うと以外と気にならないのは、体に対してバランスが良くストラップが取り付けられているからだろうと思います。合理的で質実剛健、どこか無骨ながらすっきりまとまった印象のバックパックなのです。
このバックパックの特徴でもあるモジュール式パック(モールシステム)の固定方法には、各社色々と工夫を凝らしているのを見受けられますが、Savottaの場合は、全体に使われている少し固めのテープを折りたたんで、芯を入れるだけのシンプルな形状で作られていて、壊れにくく固定が確実なのも、プロダクトとしてうまくできていると思います。もし現物を見る機会があれば是非チェックしてほしいポイントです。
モジュール式のバッグは、軍用から派生したものでありSavotta自体もフィンランド軍に長らく納入されているのだから、質実剛健なのは当たり前なのかもしれません。
心をあたためるデザインも
質実剛健と書ましたが、Savottaのラインナップには、こんな男臭いアイテムばかりではなく、バックパックに貼るスマイルマークのワッペンがあったり、組み立てると笑顔になる ハッピーストーブと言う名のウッドストーブがあったりします。
極寒の森に1人入った際に幾分感じる心細さを和らげるための、デザインとしてのアプローチなのかもしれません。いつかフィンランドの森でブッシュクラフトに出かけてみたいです。しかしそれは白夜の短い夏に限るけどね。